東洋医学の診断
東洋医学の診断には陰陽虚実などを使います。「虚・実(邪正相争)」及び「陰陽失調」の概念を用い、治療方針の「扶正去邪」あるいは「陰陽調和」を決めます。
生理的平衡状態(陰陽調和)を撹乱する条件が病因(内因・外因・不内外因の三因)であり、正気と病邪との相対的関係(虚実)が結果として「陰陽失調」を来します。この場合病邪の性質が陰的であるか陽的であるかによって陰邪・陽邪に分けられます。
また、引き起こされた症候の性質が陽的であるか陰的であるかによって陽証・陰証と診断されます。さらに、危篤状態に陥った場合も亡陰・亡陽といった病名をつけます。 陰陽失調が身体のどの部位で起こっているかを弁別するには臓腑・経絡の概念を併用します。
いずれの場合においても、物質的、静的なもの、エネルギー状態の低いもの(陰)と、機能的、動的なもの、エネルギー状態の高いもの(陽)とを鑑別し、陰の部分がどのようであるか(虚しているのか実しているのか)、陽の部分がどのようであるか、また陰陽の相対的関係においてそのバランスはどうなのかを考えます。
1.陰陽可分 | すべての事物は陰と陽の属性に分かれる。 |
2.陰陽互根 | 「陽は陰に根ざし、陰は陽に根ざす。」「陰と陽は分かつべくして離すべからず。」 |
3.陰陽制約 | 陰陽消長(正常な状態において陰と陽は生理的範囲内で平衡しつつ変動している。) |
4.陰陽失調 | 疾病を発生する根本原因。生体内の正常な相対的平衡が破壊 されて自己調整ができなくなること。 |
5.陰陽転化 | 疾病の経過において陰証と陽証が相互に転化すること。(熱証・寒証、実証・虚証、虚証・実証など) |
そのほか、疾病はその原因や発病のしかたによって様々な病態を表しますので、東洋医学では種々の診断治療の方法論が設定されています。診断は「虚実・陰陽」以外に、表、半表半裏、裏、寒熱、五臓六腑、経絡などの身体の部位区分や病態の概念が加わります。